速くなりたいということ。


速くなりたい。こういう話をよく聞きます。

コースで人に会った時、サスペンションの相談を受けた時などによく聞きます。比較的スピードが求められるモトクロスで聞かれるフレーズです。

先日、お会いしたキッズライダーと親御さんからもお話を伺いました。

ですが、速くなりたいって願望はライダー自身が自分は速いと思った時点で叶ってるんです。

そんなバカなと思います?

速くなりたいと願い続けると速くなれるバイクや技術やその他のものがやって来るっていう引き寄せの話じゃ無いですよ。

自分は速い。これだけで速くなりたい目標は達成されます。これで自分は速くなってます。

「あなたは速いですか?」

「はい。速いです。」

ほらね。速くなっているでしょ。自分は速い。ホントにこれで十分なんです。

だけど、リザルトは良くならない…。こんな声が聞こえてきそうです。

はい。速いこととリザルトが良い事は別の事です。

自分が望むリザルトに近づける一要素として速さ(スピード)は必要です。となると速くなりたいという考えは、リザルトを良くする事が目的という事になりませんか?

速くなりたい人とリザルトを良くしたい人では手段が違います。速くなりたい人は自分は速いと思えばなります。

しかしリザルトを良くしたい人は走行技術、バイク、その他にもリザルトを良くする為の手段が色々とあります。もちろんそれらを準備するにはお金が必要です。お金をかければ必要な練習量を含めて、レースで良いリザルトに近づく可能性が上がります。その際たる例がファクトリーチームです。良いリザルトを出す為に可能性の高そうなライダーを雇う。リザルトが出そうなバイクを作る。正確に整備をするメカニックを雇う。という感じに作り上げていく訳です。

とあるキッズライダーと親御さんは速くなりたい理由にモトクロスを職業にしたいと言いました。

現在、日本にはファクトリーライダーは4人です。それ以外にレースが職業のライダーはおそらく2、3人。その他はレースでは無い事でお金を稼ぎレースに参加をしているという事です。契約テストライダー、社員テストライダーなどなど。ライダーを職業にしているのは十数人な訳です。

ということでレースライダーを職業にするには約6、7人の中に入るという事です。

速くなりたいという話を続けていくと必ずライダーという職業の話になります。つまりライダーとしてお金を稼ぎたいと思ってる人がいるという事なんでしょう。

お金を貰いながらモトクロスが出来る環境を目指してるんです。

別にレーシングライダーでも無くて良い。テストライダーとしてでもお金を得ながらモトクロスしたいということも選択肢のひとつです。レーシングライダーとしては良いリザルトが出せる事。テストライダーとしては売れるバイクが作れる事。社員テストライダーとしてはバイクメーカーに入る事。それぞれの目的に合わせて手段を実践していけばいい。

速くなりたい。と言っている人は、速く走れていればそのうちに職業になるような事が起きるだろうと考えているのでは無いでしょうか。可能性は無くはないと思います。しかし、速くなりたいと闇雲にバイクに乗っているだけでは、ただ練習しろと闇雲に言ってるだけでは職業にしていくのは難しいのでは無いかと思います。

そして何人かのキッズライダーと親御さんにお話を伺ってて、ライダー本人と親御さんとの間に目的の違いがあるのではと感じました。お互いに本音で話す事は難しいかもしれませんが、 ぼんやりだとしても目的がみえてこられれば手段が選べるようになります。

そして自分が知らないことがあるという事を認めて、新たに知っていくというのはとても重要です。

どうやって知ればいいのか。僕が実践してるのは本を読む。人に会って話を聞く。現場に足を運ぶ。

これらの事を続けていけば感じられる事はあるのではないでしょうか。

速くなりたいはすぐに達成出来ます。

自分が、自分の子供が速くなりたい理由は他に目的があるのではないかと考えてみるきっかけになればと思います。